2013年10月3日木曜日

『ニールセン アジア太平洋地域のスマートフォン最新利用動向』 を商業マーケティング的に読む 【2】


2013913日ニールセンからスマートフォンインサイトレポートが発表されました。


アジア太平洋地域の9か国におけるスマートフォンの利用動向に関する興味深いデータの中から、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンのアセアン5か国と中国・香港を抜粋し、マレーシア商業マーケティング通信的な独自の視点でマレーシアを中心に考察しました。

1つ前のブログでは、これらの地域におけるスマートフォンやタブレット端末の普及率についてまとめました。こちらではその続きを下記します。


4.スマートフォンの選択基準トップ3

スマートフォンの選択基準が何かというデータはとてもマレーシアらしい結果がでています。ブランディングをする上で、またマーケティング的にもとても興味深い内容です。中国はブランドが先に来て、OS、デザインと続くのに対して、隣国シンガポールは画面サイズ、デザイン、ブランドという順です。マレーシアはどうかと言うと、価格が一番!OSが2番、ブランドが3番です。スマホにいくら掛けるかという予算が先に頭に浮かんで、その予算内でiPhoneにするのかアンドロイドにするのかを考え、アンドロイドならギャラクシーにするのか、ちょっとマイナーだけど比較的安価のhtcで我慢するのか、という感じなのでしょう。街中どこに行っても年中至る所でセールをしているマレーシアは、価格に敏感ということだと思います。4位以下にどんな選択肢があったのかは不明ですが、マレーシアでブランディングを考える上でのヒントになりそうです。


スマートフォンの選択基準トップ3】 (出典:ニールセン プレスリリース2013/09/13


5.スマートフォン購入時に影響を与える情報源

スマートフォンを買う時に何を参考にするかとう情報源は、中国、シンガポールと同じく「レビュー・ブログ」が1位、「友人・同僚・親類」が2位という結果が出ています。ネットワークビジネスも盛んなマレーシアは、口コミを重視する文化で、SNSも上手く利用して必要な情報を得ているのだと言えます。

スマートフォン購入時に影響を与える情報源】 (出典:ニールセン プレスリリース2013/09/13











6.1日のうちスマートフォンに費やす平均時間

1日にどの位の時間スマートフォンを使用しているかについては4か国のみのデータですが、中でもマレーシアはダントツの249分でした。日本のように公共交通機関が発達していないマレーシアは車社会ですから、電車で移動中にスマホを楽しむという時間の使い方はほぼ不可能です。それにも関わらず1日4時間をスマートフォンに費やしているですから、仕事中にスマホをしたり、帰宅後もテレビよりもスマホ、そんなライフスタイルが伺える結果です。

        【1日のうちスマートフォンに費やす平均時間】 (出典:ニールセン プレスリリース2013/09/13



7.携帯動画の利用率(過去1ヶ月間)

過去1ヶ月間の携帯動画の利用率はダントツの香港を除くとマレーシアはシンガポールの38%に肉薄した37%となっています。テレビ番組が日本のようなバリエーションが無いマレーシアでは、astroに加入して衛生放送を受信するというスタイルが選択肢にありますが、リビングでテレビを見るよりも自室でスマホで動画を見るというスタイルになっているのではないでしょうか。前出のスマートフォンに費やす時間のうち他の3か国よりエンターテイメントを見る時間が多いのも同じ理由が考えられます。


携帯動画の利用率(過去1ヶ月間)】 (出典:ニールセン プレスリリース2013/09/13


8.携帯広告を受け取った割合・クリックした割合(過去30日間)

過去30日間の携帯広告を受け取った割合は、マレーシアは中国の82%に次ぐ81%。ASEANの中では第一位となっています。クリック率に関しては、受信した広告のほとんどをクリックする中国(90%)に対してマレーシアは74%となっていますが、クリック率に関してもマレーシアはASEANの中で最も高い結果となっています。入って来る情報に対して懐疑心を持たず、とりあえずクリックしてみるという新しいものに興味を示すマレーシアの国民性が垣間見れる結果です。


携帯広告を受け取った割合・クリックした割合(過去30日間)】 (出典:ニールセン プレスリリース2013/09/13


マレーシアはオフィスも自宅も部屋の中が日本と比べて暗いのが一般的です。もちろんライトは点いていますが、ライトそのものが日本と比べて暗く、その暗いライトの下でも小さな文字を平気で読むことができてとても視力がいいなぁと常日頃思っています。私見ですが、マレーシアの人はとても目が良いと思います。だからこそスマートフォン向きとも言えます。

マレーシアは人口2933万人(2012年マレーシア統計局)で日本の約23%、一人当たりのGDPも9656ドル(2011年世界銀行データベース)で隣国シンガポールや日本の5分の1とまだまだです。物流も都市部から少し離れると日数が掛かるなど課題は多いですが、モバイルコマース、O2Oの可能性はありそうです。







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