2018年9月24日月曜日

タオバオがマレーシアへの越境ECで宣戦布告?相手はあの世界的有名企業!


前回は越境ECでマレーシアから中国へ販売するEC人材育成の話でしたが、
今日はタオバオが越境ECでマレーシア人に販売する話です。


 ※前回のブログ『アリババビジネススクールが提供するグローバルコースとは?』



タオバオとしてはマレーシア人が越境ECでマレーシア製品の販売で成功するだけでなく、
マレーシアの消費者が越境でタオバオからもっとモノを買って欲しいところ。

実際、華人系マレーシア人は北京語が出来るので言葉の壁が全く無いこともあり、
タオバオや天猫(Tモール)から越境で買い物している人も少なくありません。


ブキビンタンで足元に気になるサインを発見!
どうやらサインはLOT10に向かっているようです

結構なインパクトのこの人たち。
ロゴ入りTシャツを来てロゴ入り風船を主に子供連れを中心に配布


2018年9月20日から22日の3日間、
クアラルンプールの繁華街ブキビンタンのLot10で大々的にタオバオホームと銘打ったイベントがありました。

アリババビジネススクールでマレーシアのEC人材育成の講義をした翌週のタイミングですから、
今度はしっかり自国の商品をプロモーションというのも流石です。


ブキビンタンの角にいきなり登場した謎のボックス。
気になる!ドアが開いている、中を覗いてみよう。。

taobao HOME。部屋そのものが歩道に登場というわけです。


マレーシアをしっかり研究した上でカスタマイズされたイベント
このイベントの商品領域は、マレーシア人が今最も関心のあると言っても過言ではない『ホームファニシング』。マーケティングをしっかりした上のジャンル設定ということになります。

実際に使ってみなければ品質や耐久性についてはわかりませんが、おしゃれなデザインの物が手軽な価格で提供されています。

この価格とデザインは、今マレーシアで絶大な人気を誇り集客しているIKEAに宣戦布告、本気の真っ向勝負を挑んでいるようにも見えます。


フランク・ロイド・ライト風・・木製棚
価格は中国元とマレーシア・リンギットの2つを表示。
RMB418/RM255(約7000円)

マレーシア人が好きそうなウッドと遊び心のある色との組み合わせ。
もちろんQRコードからすぐに購入画面に入れます。
RMB318/RM194(約5300円)


単なる案内に留まらない期間限定の買物体験イベント
登録がまだの人にはタオバオLITEのアプリダウンロートと登録を促進し、新規登録者には20元(328円)
相当のバウチャーを提供。

その場で家具を購入を完了した人には、バウチャーや賞品がもらえるゲームに参加出来るなど楽しい要素も組み込まれています。

そして目玉はなんと言っても送料無料!
通常は1キロあたり22リンギット(約600円)する送料が期間限定で無料なので、大きなものでも臆せず購入に踏み切れるようにしていた点は、まずは採算度外視でシェアを獲得するという意図が垣間見えます。

因みにIKEAマレーシアの配送料はマレーシア半島内宅配でRM40(約1100円)、トラック配送がエリアによってRM98から(約2700円)なので十分競争できそうです。

参考:【IKEAマレーシアの配送料】


Lot10内のイベント会場
タオバオホームのTシャツを来たスタッフが親切にサポート。

また、不明点があれば、大量に投入された若いデジタルネイティブのスタッフに待ち時間なくすぐに聞けるので全くストレス無しです。

しかもよく教育されていて「何かまたわからないことがあれば、また気軽に声掛けて下さいね」とニッコリ親切なのも好感度抜群です。

今まで越境ECで買うことをイメージしにくかった家具類。
それが手軽に買えて自宅に届いてしまうという体験を促進、案内だけに留まらずクロージングまでがしっかり組み込まれたこのような買物体験イベントは、優良顧客を育てるのに欠かせない道筋だと思います。


限られたイベントスペースではマレーシア人が今欲しいものだけを絞り込んで展示し
越境ECで販売。家具だけではなくキッチン用品もありました。
マレーシアローカルの意見が反映されているのが随所に見える商品セレクト。

当日購入者には賞品がもらえる楽しいゲームも。
お父さん、娘さんの前で必死に頑張っています!


誰がターゲットかが一目瞭然
このイベントはバナーからチラシまで全て中国語表記。だからと言って中国で使用しているものをそのまま配布しているのではなく全てマレーシアのこのイベントのために作られたものです。

越境ECのサイト自体が中国語表記なのに合わせてこうなったのだと思いますが、マレーシアの人口の25%にあたる華人系をターゲットにしていることが一目瞭然です。

まずは言葉の壁がなく、マレーシアの中で他の民族と比較して可処分所得が高いと言われる華人系からIKEAのシェアを切り崩そうという戦略なのかも知れません。

いずれにせよ、タオバオホームをきっかけにタオバオLITEで買物したマレーシア人が、その後タオバオ、
TモールとEC買物体験の場を拡大していくことは容易に考えられるので、そこを見越したイベントということになります。



こちらもマレーシアで人気のフードトラック風ワゴン。
今日の思い出を撮影し記念写真をプリントアウト。

予算投下が大々的。タオバオのオレンジ色で全館をジャック!
1階のタオバオホームのイベントを上層階まで続くエスカレーター脇で告知、
商業施設内のどこにいてもこのイベントが目に入る仕掛けです。


世界的にも有名な家具の産地マレーシアで繰り広げられるバトルの行方に注目
実はマレーシアは家具工場ばかりの工業団地の街があり、ニトリも調達拠点を置くなど、古くから家具の生産地として世界的に有名です。

OEM生産者が自社ブランド化してそれを業態化しようと思えば出来たはずのマレーシア。
そこにホームファニシングの”業態”として上陸し確固たる地位を築いているIKEA、そこに着目してホームファニシングを入口に市場を切り崩しに来た大陸の雄タオバオ、この先も様々な視点で注目してまります。


誰がターゲットかが一目瞭然。マレーシアのイベント用に作られた中国語表記のチラシ。


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