【マレーシア商業マーケティング通信とは・・・】
マレーシア商業マーケティング通信は、マレーシアの商業を語る上で今後ますます欠かせないジョホール州南部のイスカンダル開発地域の商業についても、商業マーケティングのプロが実際に足を運んで見たリアルな内容をレポートして参ります。
ジョホールバル シティスクエア
シンガポールと国境を接するマレーシア最南端の街ジョホールバルにあって、最も国境に近いモールがシティー・スクエア。マレーシアの陸の玄関口にある商業施設です。CIQ(マレーシア側のイミグレーション)の大型大改築に遅れること約1年、着々と改装を続け、全館改装を終えたジョホールバルシティスクエア。 http://www.citysqjb.com/
昔は単に国境にあるやたら大きなSCという印象のこの施設が、マレーシアの玄関という役割を併せ持ってどんな顔に生まれ変わったのか、要点を以下にレポートします。
まず第一印象ですが、以前のゴミゴミした姿からは想像できない開放的な空間が広がっており、プレーヤー自体はほぼお馴染みの顔ぶれですが、随所に飲食が配置されているリレーションがこの立地ならではで新鮮に映りました。
【 改装の目玉(話題性の提供)】
- 6F 池に鯉の泳ぐ空中庭園とレストラン&フードコート「Dapur Kita」
・最上階まで上がったお客様の期待を裏切らない開放的な空間のDAPURKITAは一見の価値ありです。
・池は水質浄化という課題も見えましたが、ジョホールの大型商業施設としては初の試みで、既にローカルの話題になっています。
【目についたジョホール・バル初出店テナント】
- 『 MANGO TOUCH 』:区画は小さいですが、マンゴーのアクセサリー業態です。今回はMANGO、TOUCH、H.E. by MANGOの3業態を出店。
- 『 Dragon-i 』:KL発のオーセンティック上海料理業態(KANTON-iとのダブル出店でジョホール地場出身の中華レストラン「湯師父」の包囲網になるか相乗効果を発揮するかが今後の注目点。
- 『 KANTON-i 』:ドラゴンiの広東料理業態(平日の夕方も注目度抜群でした。)
- 『 銅鑼湾 』: 香港点心の業態
- 『 DAPUR KITA Food Mall 』: 6Fフードコート
- 『 T Bowl 』: 便器を椅子にしたコンセプト飲食業態(平日の夕方で学生で最も店内が賑わっていた店舗。)
【このSCの特徴】
- 飲食比率が高い。飲食の複数エリア配置。マレーシアに入国してほっと一息の需要に対応しています。(B1Fと6Fにそれぞれ異なるコンセプトのフードコートおよび各階に飲食)
- 飲食を各階に分散。分散しても各階にたっぷりある飲食。
- シネマに加え、書籍テナントが2つと時間消費型店舗に配慮。(POPULARとMPH)
【リニューアルのポイント】
- 自然光を採り入れた開放的な吹き抜け空間。(吹き抜け自体は全く珍しくはないですが、以前のシティースクエアと比較するととても開放的で新鮮な印象を訴求できています。要するに振り幅が大きい=話題性・注目度大。)
- 吹き抜けで視認性を高めたことで位置把握が容易、かつ上層階への回遊動機付けに成功(飲食3段重ねが効果を発揮。飲食を各階で顔見せして牽引)
- 吹き抜けに面したテナントの顔が下からもきちんと確認できる点も上層階への回遊動機となっています。
【課題】
- 吹き抜け空間が単にセール品を並べただけのスペースになっており、有効なイベントと絡めたプロモーションが(現時点では)打てていないのは残念でした。(今後に注目)
- 吹き抜けに面した通路が現在の状態を維持できるかも今後の注目点です。今後ワゴン型小型店舗が通路にどの程度出てきて、店舗の背面を吹き抜け側に晒すことで、現在は抜き抜け側に顔出しできている常設テナントの顔が崩れるか、または維持できるか。
- エスカレーターのUPとDOWNが繋がっておらず、旧態依然としたフロア回遊不可欠型。週末の顧客数を考えると安全管理面からこうせざるを得ないことも考えられますが、フロアを回遊してからでないと次のエスカレーターに乗り継げない点、直接上層階に上がれない事は混雑時には特にストレスフルなため、上層階への回遊阻害要因になり得るように思います。
- マレーシアの陸の玄関口という立地にはあるものの、シンガポールから自家用車で来た場合、駐車場入口までは迂回が必要なので、心理的阻害要因に成り得ます。この点でどの程度シンガポールからの車客を取り込めるのかも要注目です。
- ファーストフードやフードコートはバスで入国の外国人やシンガポールへの通勤客に対応していますが、価格帯が高い一部のレストランがどんなお客様を取り込むかも併せて注目です。
国境立地の商業の特徴か?何もせずにただ椅子で休む人が目立ちます。ますます激化するジョホールバル内での商業施設同士の競争において、この巨大SCが今回の大改装を生かしてどう出るか、今後も目が離せません。
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